新しい事業・サービスを始める時に「まず行動する」ことが大切とされていますが、本当にそれだけでいいのでしょうか?
本気で、それらをグロースさせたいと思ったら、データと向き合うことは必須。
他社のデータも分析してこそ、自分の立ち位置を理解できることがあります。
わたしもブログは、アナリティクスを見て分析し、傾向を掴んでから記事を書くことで、アクセスがぐっと伸びた経験があります。
つまり、ただ始める・作るだけでなく
データから「分析」し、そのデータを活用「転用」
することが本当に大事になってきます。
そんな課題をサポートしてくれる企業が、App Annie(アップアニー)です。
日本法人代表の向井俊介(@Shun_Mukai0718)さんご本人にインタビューし、これからのアプリ市場の動きや、賢いデータの活用方法などを伺ってきました!
- モバイルを使ってビジネスをグロースさせたい経営者
- アプリ市場の動向をいち早く知ってビジネスに生かしたいマーケター
に刺さるような内容になっています。
この記事をよんで、App Annie(アップアニー)を活用したいと思っていただけたら嬉しいです!
目次
App Annie(アップアニー)ってどんな会社?
App Annie(アップアニー)は、業界で最も信頼されるモバイルのデータと分析のプラットフォームを提供している企業です。
なんと、世界のアプリ関連企業の上位94%が利用しているそう!!
米・サンフランシスコに本社をおき、世界11都市で事業を展開しています。
アプリをメインとした事業を行なっているLINEやDeNAはもちろん、JR東日本グループや大和証券などの大企業も利用しています。
- 追跡しているアプリ数14000万以上
- 登録ユーザー数100万人以上
と、ほとんどの企業が導入しているんです!
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App Annieはツールではなく『データ』を提供している
ーーまず事業のことについてお伺いしますが、App Annieさんの主な事業はデータが見えるツールを提供しているということでしょうか?
向井さん:いえ、ツールだけを提供しているわけではありません。勘違いされることが多いのですが、私たちが提供しているものはツールではなくデータです。App Annieが持っているデータに対して、企業からお金をいただいています。
たしかに、ユーザが僕らのデータを使うときは、ダッシュボードみたいなツールにアクセスしますが、私たちはデータの部分に価値を置いているんです。
ーーなるほど、ツールはあくまでもデータを見やすくするための方法だと?
向井さん:そうですね!最初App Annieが初めてビジネスを始めたときは、データをCSV(エクセル)ファイルに記載して納品していました(笑)
ーーCSVで!?ファイルの容量が、かなり重くなりそうですね…笑
向井さん:1つのアプリに対して何万行もあるエクセルファイルを、月に1回納品していました。でも、それだと自分でグラフ作らなければいけないし、分析するために何かしらのツールを使わなきゃいけなくて、すごい使い勝手が悪かったんです。
それを解決するために、Webで動くダッシュボードを開発した結果、今の形があります。
『信頼できるデータ』を提供するApp Annie
ーーなぜ、これほど多くの企業がApp Annieさんのデータを使用しているのでしょうか?
向井さん:それは、データの多さとApp Annie独自のアルゴリズムがあるからだと自負しています。
ーーデータが他の企業と比べて多い理由はなんでしょう?
向井さん:創業者の先見の明があり、どこよりも早くアプリ市場のデータを取っていたからです。
App Annieはフランス人の元CEOバートランド・シュミットが北京で創業したところからスタートしました。バートランドが北京のモバイル企業でエンジニアとして働いていた当時(2010年)は、ちょうどiPhoneの3Gが出たばっかりで、アプリで稼ぐ方法やビジネスをグロースさせるなんてものはありませんでした。
ただ、彼はこの先モバイルがどんどん広まっていく未来が、容易に想像できたんだそうです。そうなったときに、アプリに関するマーケット情報や市場データみたいなものを、多くの人が必要とするんじゃないだろうかと閃いて会社を作ったのが、App Annieの始まりでした。
ーー誰も注目してないときから、アプリデータに注目して蓄積していったからこそですね。
向井さん:そうですね。どこよりも早く世界中からファクトデータを集めたのが、多くの企業からの信頼につながり拡大に追い風をかけてくれたと思っています。
また、独自のアルコリズムを開発したことで精度の高い信頼できるデータを提供することができ、参入障壁の高さにも繋がっていきました。
ーー信頼できるデータとは、具体的にどのようなデータなんでしょうか?
向井さん:私たちのデータの数値は、実際に多くの企業からいただいたデータの数値から割り出した推計値です。
たとえば、アプリのストアのランキングのデータは、クローリングすれば1位〜1000位のデータを全部取ることができます。それを世界中から集めたファクトデータと合わせることで、1位と3位のデータがあったときに、2位の推計値が出せるんです。ただ、この推計値は一定以上のデータ数がなければ算出することはできません。多くの企業のデータをもっている私たちだからこそ、精度の高い推計値を出すことができます。
それが実際に、重要なプレゼンや決算報告の場で使われたことにより、信頼が積み重なったと思います。
なぜ、アプリ市場のデータに今注目しているのか?
ーーなぜ、アプリ市場のデータに注目しているのでしょうか?
向井さん:モバイルトランスフォーメーションが、世界中で起こっているからです。
ーーモバイルトランスフォーメーション!?
向井さん:あらゆることがモバイル上で済むようになっている、モバイルへの転換のことを意味します。生活サービスから始まり、娯楽や食事、金融・決済までもがモバイル化してきていることをモバイルトランスフォーメーションといいます。
ーーたしかに…もうスマートフォンを手放すことはできないなと感じることが多いですね。
向井さん:10代の若い子たちは、特に顕著ですね。
たとえば、その世代は当然のようにTikTokを使いこなしています。SHOWROOMも17Liveのようなライブ配信も違和感なく生活に馴染んでいます。大手の企業からすると、16歳から24歳のいわゆるジェネレーションZって定義されてる世代の生活習慣を理解し、きちんとエンゲージすることで、将来の顧客になります。そういう世代にいかに早い段階でリーチしていくかっていうことをマーケの人たちは考えなければいけません。
ーーなるほど。
向井さん:そんな時に必要なのが、アプリ市場が今どのような動きなのかを把握することです。
今後相手にしなきゃいけない生活者が、どんなサービスに触れてて、どういうものにお金を払って時間を割いてるかをデータを見て理解することは必須になってきます。
ーーそこで、App Annieのデータが必要になってくるんですね。
向井さん:私たちが提供しているデータでは、どんなサービスが多くの人の時間を埋めているのか、またお金と時間を投下しているのかを知ることができます。
これは、アプリを持っている企業だけが使用するのではなく、アプリをもっていない大手企業にも見て欲しいです。
ーー スタートアップは、キャッチアップが早いですよね。
向井さん:そうなんです。スタートアップは、初速が早い分資金体力と人的リソースとマーケティング力が弱い。その部分で大企業のリソースを使うのがいいと思っています。大手がそのデータを見てスタートアップが開発しているアプリを買収することで、スタートアップはよりよいアプリが開発できるし、かつ利益があがるのでwin-winな関係を築くことができます。
そこの橋渡し的な役割を、App Annie でやっていきたいなと思っています。
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データを見るだけで終わらせない !App Annieを使用するメリット
ーー実際にデータをもらった企業は、どのように活用すればいいのでしょうか?
向井さん:データを眺めているだけでは、何も変わりません。
たとえば、すごい人気のアプリがあって、そのデータを見て「へぇーこんな結果を出してるんだ」で終わってしまうところが多い。知識として得らるだけのデータを買ってもらっただけでは、データの価値が失われてしまいます。「へぇー」だけで終わるのではなく、そのデータの動きから何が言えるのか、じゃあそれによって何をすればいいのか、何をしたのかっていうところまでつなげてほしいなと思います。
ーー転用するところまで持っていってほしいと…。
向井さん:そうです。成功した事例のデータを分析して、その特徴を自分たちのアプリに反映させてみようという行動をしてはじめてデータに価値がでるんです。
ーー実際にどのような企業が、App Anieさんのデータを利用しているのでしょうか?
向井さん:アプリを持っている企業が割合としては多いです。こういうところは、いかに新しい人たちにダウンロードしてもらうか、沢山の人達にいかに長く使ってもらい、お金を払ってもらえるか、というKPIを追いかけています。
このあらゆるKPIを達成するために、データを元に市場全体の動きや同業他社の動きを把握しながら日々改善をしています。
ーーそのような企業は、具体的にどのように活用しているのでしょうか?。
向井さん:当然ながら、ニュースアプリの中にはいろんな解析ツールが入っていて分析できるんですが、他社のデータはわかりません。
そんなときに、私たちのデータを活用していれば、他の会社のデータから出した推定値を見ることができます。広告を打ったことで何万人の新規ユーザー取れて、それによってメディアの価値ってこれぐらい上がったよねとか。3億円が2ヶ月か3.5ヶ月でペイできますみたいなことがわかるんですよね。他の会社のアプリのパフォーマンスや打っている施策のデータをみて、実際に自分たちが意思決定をするために使うことが多いですね。
ーー競合に自分たちのデータが見られてしまうことって、嫌がられたりしなんでしょうか?
向井さん:あくまで僕らが提示しているのは推計値なので、実際にもらっているデータをそのまま他者に見せているわけじゃありません。
これくらいやったら、こんな効果がでるかもよというデータをアルゴリズムにかけて精度高いものを提示しています。なので、ある業界で、ある一企業が私たちを活用し始めると、連鎖的にみんな導入するという事象が起きていますね(笑)
向井さんがApp Annieに入社した理由とは?
ーーなぜ、向井さんはApp Annieに入社しようと思ったのでしょうか?
向井さん:前職はGartner(ガートナー)という世界中のIT企業が抱えているビジネス課題の解決に役立つ知見を伝え、助言をしていました。いわゆる、外部のパートナーという立ち位置です。
Gartnerはすごい権威の強い会社で、多くの企業がGartnerが発信する情報は正しいという前提で取りいれてくれるため、個別に対して深入りして、細かくアドバイスをするということに限界がありました。もう一歩踏み込んで、ビジネスに関わりたいなと思ってたところに、ヘッドハンターから声がかかったんです。
ーータイミングがよかったんですね!
向井さん:そうですね!
当時はアニーちゃんっていう、女の子の二頭身のマスコットキャラクターが面接のホームページに大きく表示されていて、「この会社少し怪しいな…」というが第一印象でした(笑)しかし、当時のカントリーマネージャーの人にモバイルってこんな広がっていくんだというデータを直接見せられて、「日本立ち上げ直後のセールス全般を、向井の好きにやってくれ」とを言われた時ですね。その言葉にぐらっときてしまいました。それで「面白そうじゃん」と感じて入社することを決めました。詳しくは、僕のnote『App Annieではたらいてる理由』を読んでください。
会社の未来、自分の未来
ーー実際にApp Annieで活動していて感じた課題はありますか?
向井さん:大手の企業の中の人たち、特に上層部の人たちに、モバイルの業界で起きている事を自分ごと化できていない人がまだまだ沢山いると思っています。
GAFAをはじめとした外資のプラットフォーム企業がどんどん日本に入ってきていますが、彼らが日本の生活者に入れば入るほど、日本企業は稼げなくなるだけではなく、企業が中長期で成長するために必要な「データ」が取れなくなる、という点は意識されていないと思っています。
ーーそれこそ、モバイルトランスフォーメーションを強化していかなければいけないということですよね。
向井さん:アプリの市場は、世界的に成長しています。モバイルの収益やダウンロード数、利用人数が昨年対比でマイナス成長している国がひとつもありません。世界中すべての国で成長しているんですよね。
ーーひとつもないってすごいですね。
向井さん:そうなんです。アプリに流れてるお金が、課金マーケットの60%も占めていて、それが年成長率10%なんです!しかも唯一日本の中で二桁成長している、1兆円産業なんです。
マーケット全体とはどんどんどんどん大きくなっていっているので、この流れをデジタルのコンテンツを消費するためだけに回すのではなくて、企業のビジネスに流れればもっと国全体がよくなるかもしれないと、データ見てて思うことなんです。アプリとの相性がいいビジネスと組み合わせて、相乗効果的に利益が生み出せればいいなと思っています。
ただ、闇雲に組み合わせればいいということではありません。相性が悪いコラボをしてしまうと、裏目に出てデメリットを生み出してしまうことだってあります。そういう相性の部分は、私たちのデータから見えることがあるので、アプリとビジネスをしっかりつなげて成果をだしていくっていうことを、今後取り組んでいきたい部分ですね。
ーー新規事業が生まれるかもしれませんね!
向井さん:いや、実際は結構難しいんです。昔、飲食店でメニューにあるQRコードを読み取ったらゲーム内のアイテムがもらえて、ゲームを進めることができるという企画を提案をしたんです。しかし、それを提案したところ、Wi-Fiのスピードが原因でゲームが滞ったりしたら責任が負えないとか、滞在されすぎても困るとか、回転率が下がるからやりたくないとか…。なかなか導入をしてもらうのはハードルが高いなと感じました。
ーーそうなんですね。
向井さん:やっぱり大きい企業は上が動かないと、決定できないことがあるので、僕自身が経営陣と話す機会を増やしていかなければいけないなと思います。そこでデータを見せて数字で納得してもらう。そうやって一歩ずつ積み重ねていって、モバイルトランスフォーメーションを促していきたいなと思います。
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企業目線で企画はしないこと
ーー今後アプリを開発したり活用していきたいと思っている人にアドバイスはありますか?
向井さん:1つだけアドバイスでいうとしたら、企業目線で企画しないことですね。うちのブランドはこうだからこれしか言わないとか、乳製品の会社だから乳製品のことだけを押そうとか…自分たちのこだわりを一生懸命伝えようとする企業がとても多いです。でもユーザーはそれを求めてないことが多い。
おいしかったり、楽しかったりすればブランド関係なく、そっちの方に流れていきます。
企業目線でだいたい世に出すと無視されることの方が多いので、プロダクトアウトとマーケットインで言うとマーケットインの発想を持ってないと往々にして失敗するので気をつけた方がいいかなと思います。ただ、注意点があって…。
ーー自己中はダメってことですね。
向井さん:ただ、マーケットインだけに依存すると猿真似のアプリができるんですよね。
ーー確かに…似たようなアプリが3つくらいあるときありますよね。
向井さん:そうなんです。それだけだと差別化できないので、プロダクトアウトとマーケットインのバランスを調整しなければいけないと思います。ベータ版で出してからABテストを高速で回して、検証していくのがいくのがベスト。
ユーザーの生の声を聞きながらデイリーで改修していくっていうぐらいのスピード感でやらないと、なかなかユーザーに受け入れません。
ーーデイリーで改修していかなきゃなんですね。すごいスピード!
向井さん:特にリリース直後はそれくらいのスピードでやっていく必要があると思います。ウィークリーでなんかやってたら客はアンインストールしていますね(笑)
ーーとてもスピードがある市場なんですね。
向井さん:本当に早いです。だって1年前にTikTokがこうなっているなんて誰も予測できないじゃないですか。気づいたらすごいことになってて、2018年のダウンロード数国内No.1ですよ!
将来予測ができない市場なので、だからこそ うちのデイリーないしはウィークリーでデータをすぐにとってこれることはうちの価値だと思っています。
アプリ戦略に留まらない、未来の新規事業へApp Annieが繋げる
世界中のありとあらゆるアプリを分析し、多くの企業をサポートしているApp Annie。
アプリをもっている企業だけでなく、これからの時代に向けた新規事業を始めようと思っている経営者こそ、App Annieのデータを活用すべきだと、お話を聞いていて思いました。
データを持っているものは、ビジネスを制する
と、どこかで聞いたことがあります。
でも、これは本当だと思っていて、データがなければ改善もできないし、次のプランを立てることも頭の中で考えるだけでは当たる確率がとても低いです。
ぜひ、App Annieさんが提供しているアプリデータをフル活用して、自分のビジネス拡大のエネルギーにしてみてはいかがでしょうか?
今回、私が理解できるようにと、とてもわかりやすくお話してくださった向井さん。
その想いが、読者にも届くように執筆させていただきました!
新しいことをこれから始めようと思っている人は、一度App Annieにお問い合わせしてみてください!
【おまけ】アプリ市場の動向を向井さんの情報キャッチアップ方法
ーー日々、世界中のアプリ市場のデータを扱っていますが、市場の動きなどはどのように情報をインプットしているんですか?
向井さん:TwitterとNewsPicksと、あとはApp Annieのデータです。Facebookも一応見ます。だけど、テレビや新聞はノイズが多すぎるので見ないですね。
ーーなるべく最新の情報が早く手に入るものを使っているんですね。
向井さん:はい。あとは、仕事柄ですがいろんなアプリをスマホに入れてます。
ーーどんなアプリを使っているんですか?
向井さん:自分が使いたいなと思ったアプリしか基本使わないんですが、それでも150個ぐらい端末に入ってて、その中でもメインで使うのは1日10個から15個くらいです。たとえばUberEatsとかほぼ毎日使ってますね。そろそろお昼だし…。(※お昼の時間にインタビューしていました笑)
たぶん普通の人たちとあんま変わらないと思いますが、NewsPicks、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNS系と、あとPinterest。Pinterestは僕の中でリラックス用に見ています。あとはサーフィン用の波のアプリとか。
ーー市場を大きく占めているとおっしゃっていた、ゲーム系のアプリは使わないですか?
向井さん:僕は、クラロワ(※クラッシュロワイヤル)しかやらないんですよね(笑)ショッピング系だとメルカリが多いかな。何をするにも、まずアプリですね。
ーーWebサイトはあんまり見ないですか?
向井さん:ググる時くらいですね。僕は、キャッシュレス大推奨派なので財布を取り出さずにいかに生活するかに、結構命かけています(笑) なので、あらゆるキャッシュレスのアプリが入ってますね。PayPayから、LINE Pay 、Origami、Google Pay、Kyash、あとメルペイ。
ーーその中でも、一番使いやすいのはどれですか?
向井さん:つい使っちゃうのはPayPayですね!アプリを開いてワンタップでバーコード画面が出るので。ペイペイって言われるのがすごい恥ずかしいんですけど、UXがいいので使います。
ダークホースだと思っているのはメルペイです。そもそもアプリを開かないで支払いができるし、メルカリで物を売って、それが支払いに使えるので、お財布を一切挟まない。注目しているアプリです。