記憶に残るチョコレートだ…
今回朝渋の著者イベントのゲスト・『Minimal -Bean to Bar Chocolate-』を経営する株式会社βace(ベース)の代表・山下貴嗣さんのお話を聞いて,そう思いました
老若男女愛,そして世界中で愛されるお菓子の代表ともいえるチョコレート
そのチョコレートに人生をかけた山下さんが熱く語っていて,これは記憶に残るチョコレートだって思いました
市販で売ってるチョコレートよりも少し値段が高いMinimal(ミニマル)のチョコレート
でもそれだけの値段の理由が詰まっていたように思います
今回は,
- Minimalが目指しているビジョン
- チョコレートに対する熱い想い
- なぜMinimalを創ったのか
をお話していただきました
目次
山下高嗣とは?
リンクアンドモチベーションに新卒で入社
30歳というタイミングで,2014年に起業したのがMinimal(ミニマル)でした
「インターナショナル チョコレートアワード 世界大会2017」で日本ブランドとして初の最高賞の「ゴールド(金賞)」を受賞するなどチョコレート業界を先駆ける存在として確立しました
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ミニマル(Minimal)Bean to Bar Chocolateとは?
みなさんはBean to Barということばを聞いたことはありますか?
Bean to Barとは,カカオ豆からチョコレートができるまでの全部の工程を自社でやっちゃおうっという取り組みです
普通のチョコレート業界は
- カカオ豆からチョコレート生地をつくる
- 生地を仕入れて商品にする
の2ステップを踏んでいます
でも,ミニマルではその全ての工程を一貫して管理して製造しているんです
なんでBean to Bar なのか??
って思う人もいますよね!
なんで一貫して自社で作ろうと思ったのか…
それは,チョコレートを販売するだけじゃなくて新しい価値をお客様に届けたいと思っているからなんです
チョコレートを新しくする
チョコレートは食べるだけじゃない
- 生産者との関係
- 作り方
- 体験
この3つをチョコレートを通して価値・魅力を伝えようと思っているそうです
そして,この3つはチョコレートに限らず全ての消費ビジネスを考える上では重要だという山下さん
このチョコレートを新しくするための3つがなぜ大事なのか一つ一つ説明してくださいました
生産者との関係
カカオ豆の生産者の界隈では,豆の質をいいもの作ろうが悪いもの作ろうがカカオの値段は同じなんだそうです
だから,生産者は人をなるべく雇わないでたくさん作った方がお金儲けができちゃうんですよね
それによってカカオ豆の価格はここ数年下がり続け,質ではなく量で取引されてました
近年,情報が溢れることで,自分が食べるものの情報を自分で選ぶようになってくる
そのときに,誰がどんな風につくってるか注目されるようになってきます
質が悪い…よくない環境でカカオ豆が作られているなんてことは調べれば出てします可能性も…
山下さんはそういう時代だからこそ生産者とも良い関係を作っていきたいと思っているのだとか
山下さんは,毎年ガーナにいって農家に直接「自分たちが作ってるカカオ豆がどういう風になって,誰に届けられているのか」といったようにお客さんが喜んでる状態を生産者にしっかり説明して見せている
さらにミニマル独自のカカオ豆品質リストを見せて,そのレベルのものは値段はこうだよ!って評価をして買い取っているそうなんです
これで何が変わるのかというと,彼らがカカオ豆の質を高めることで収益が増えることがわかれば,いいカカオ豆を作ろうとしてくれます
農家が頑張れば自分たちはいい豆が手に入るし,相手も収益を増やすことができる
win-winの関係になるんです
チョコレートの作り方
市販のチョコはカカオだけじゃなくていろんなものが入っている
裏の材料をみればわかりますが,カカオ豆じゃなくて砂糖が一番多く入っていて,よくわからないカタカナもたくさん書いてあったりするんですよね
今までは,いろんなものを足されて作っている
でも,ミニマルのチョコレートの基本は引き算
原材料はカカオ豆と砂糖だけ
とてもシンプルにつくっているそうなんです
「2種類だけってほぼいっしょじゃない?」って思われるかもしれませんが味は全く違うという声が続出!!
製法とか産地とかで味が変わってくるかららしいです
チョコレートの体験
ミニマルのチョコはザクザクした食感をしています
今までのチョコレートは口どけがすべてでした
でもミニマルはザクザクにすることで他と差別化した
味って記憶に残りにくいのですが,ザクザクしてたという食感は記憶に残りやすいんです
だからあえて,ザクザクという違和感をもたせて印象に残す
原材料は単純でも,いかに記憶に残すかというマーケティングはしっかりと考えられていることがわかりますよね
だれかが美味しいって思えば,みんなが美味しいとなる
美味しさって感情的なものだから,ビジネスとしてすごい難しいって思ったけどだからこそ挑戦したいと思えたそうです
技術よりも思想とか着眼点を変えたことで差別化をするのがミニマルのマーケティングなんだそうです
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チョコレートの楽しみ方を変えたミニマル
チョコレートの楽しみ方は
- お菓子としての楽しみ方
- お土産とかでつかう高級ブランド
があります
2の場合はブランドの名前で感想を言われることがおおくて
というように,ブランド名という”もの”を消費しているんです
そうじゃなくて,チョコレートができるまでの過程に思いを馳せてもらえるようにしたのがミニマルのチョコレートです
例えば,
ベトナムで作られたカカオ豆は酸味があって赤ワインにあう
という情報が入っていれば,赤ワインが好きな友達にプレゼントするときに思い出してもらえるかもしれない
もちろん特徴的な味がするチョコレートもあり,それが嫌いという人もいます
でも,嫌いなものは嫌いでいい
made for you になれる・思い出になるチョコレートを作っていきたいという思いから,過程までを全てみせるチョコレートを作っているのです
三方良しの輪を作るミニマルのチョコレート
- いい豆をちゃんと買って,いい豆をちゃんと体験として届ける
- そして,その収益を豆作っている農家に還元する
- 農家はその収益をもっと増やすためにいい豆をつくる
この循環でだれも傷つかないビジネスモデルを築きました
これを繰り返して行くと,世界がちょっとだけ良くなることを信じて山下さんは創業当時から活動を続けてきました
そしてこれをしっかり発信していけば,お客さんは「ミニマルのチョコレートを買うことでカカオ農家の支援になるかもしれない。だから,買ってあげようかな。」と他のチョコレートを買うときとはちょっと違う感情をもってもらえるんです
ビジネスを大きくすることも大事だけど,消費と生産地を近づけて行くっていくソーシャルインパクトを大きくしていきたい
そんな想いから,山下さんは自分の人生をかけてやってもいいんじゃないかなーって思えました
ミニマルのチームビルディングのコツ
そんな熱量が高いミニマルですが,どのように社員との意思疎通をとっているのでしょうか?
ここにも山下さん独自のビルディングのコツが詰まってました
面接で見るところ
山下さんはミニマルのチームに入れる人は
何が好きで,どこにに共感して入りたいのか
ということだけを記憶して,それがよかった人を入れるようにしているようです
おはようの挨拶のトーンをみる
山下さんは必ずメンバーに「おはよう」という挨拶をしているそうです
そして,そのの返し方・トーンを見てる
ちょっと低かったら体調がよくないのかな?って想い先輩に様子をみておいてと声をかけるそうです
「おはよう」その一言だけで体調がだいたいわかるのだとか
ちゃんと飲む・会話する
そして,何よりも山下さんが気にかけてるのがコミュニケーションをとること
飲みニケーションといったように飲み会にも参加し,日曜の夜に勉強会をみんなでして視座を高めるということもしています
ここができてないと,いいチームは作れないんだそうです
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何も決めないで会社をやめた
ここまで熱心にミニマルのチョコレートの魅力を語ってもらいました
しかし,そもそもなんでチョコレートという商品で起業したのでしょうか?
山下さんは,会社を辞めるとき何をやろうかっていうのは決めていませんでした
でも30歳までに外に出たいという想い・直感で会社に辞職を届けたそうなんです
直感を無視していろいろ考えたらもう動けなくなる
そう思ったんですね
当時の日本はグローバル人材育成が流行って海外ばかりに目がいっていたんですが,ふと我にかえって,日本人をじっくり観察してみると,空気読めたり流れ読める日本人ってすごいじゃんって思ったんだそうです
サービス・おもてなし・伝統工芸・UI/UX・食
あらゆる分野で肌理細やかさが、日本人の強みとして発揮されてると気が付いたんです
そして,この日本人のきめ細さを生かして「日本ってかっこいいよねって思って欲しい」という想いをチョコレートなら伝えられると思い,チョコレートを商品にして起業したそうです
起業するのは一歩踏み出す前が一番怖い
個人として働く人口が増えて来た日本
それにともなって,「起業したい!けど怖い…」って人が多く山下さんに相談してくるそうです
そんなときによく思うのが,起業っていうのは転がってる石と同じだということ
起業したあとの自分は転がり始めた石で,目の前に現れた岩を避けるのに必死
怖さというよりも,もうやるしかないんですよね
だから一番怖いと感じるのは,転がり始める前の状態
何かをやる前がどうなるかわからないから一番怖いんです
だから,転がりだしちゃえばいい
そうすれば怖さもあるけど,もうやるしかないから
山下さんはそう力強く言っていました
ミニマルのチョコレートはただのチョコレートじゃない
チョコレートのイベントかと思いきや,人生観からマーケティングまで幅広く学ぶことができた今回のイベント
この記事を読んだ人は,もうミニマルのチョコレートをだれにプレゼントをしようか考えてしまってませんか?
もちろん自分で食べるのもいいかもしれませんが,これはプレゼントにぴったりのチョコレートだなって思いました
- バレンタイン
- 誕生日
- 何かのお祝いのとき
ちょっとした特別な日に,ミニマルのチョコレートをプレゼントしようと思います
1時間半に及ぶチョコレートに対する熱い想いを話していただきありがとうございました!
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